FACTOR 8 PEARLY GATES ESSENTIAL printed in KYOTO
伝統と革新の融合、パーリーゲイツの魅力を引き立てる「京プリント®

足を踏み入れた瞬間、まるでタイムスリップしたかのような風情を感じる特別な場所、京都。
神社仏閣や史跡、雅な文化が今でも色濃く残り、その豊かな食文化で世界中を魅了しています。

ご存知でしょうか? 京都はイタリアのコモやフランスのリヨンと肩を並べ、
世界三大染色の都ともいわれています。
毎シーズン独創的なコレクションを発表している
パーリーゲイツを象徴するカラフルでポップなオリジナルプリント。
実はその約8割が京都で生まれています。

なぜ京都なのか?
PEARLY GATES ESSENTIALを通して、その魅力をゴルファーたちにお届けします。

型製作、捺染、蒸し、洗い。
分業制で行われるのが京都の魅力

京都は水の豊富な資源を活かし、「京友禅」など江戸時代からの着物文化からファッションの産地として発展してきました。
それぞれの工程が別の工場で行われることが多いのが、京都プリント産業の分業制。あえて全工程を一つの工場で完結しないため、工程ごとの職人の知恵と技法が活かされ、少量生産にも対応するものづくりが特徴です。プリントは主に3つの技法で行われています。

「1.スクリーンプリント」は、昔ながらの手法で生まれる繊細な発色が魅力で、家庭で版をつくり色を合わせて年賀状をプリントしていた頃のイメージにも近いものです。
「2.インクジェットプリント」は色の3原色を基にした微細な粒状のインクを直接吹き付け印刷する、幅広く普及されている印刷方法で、繊細で自由な再現を可能としています。
「3.転写プリント」は、あらかじめデータを写したシートと生地とを熱と圧力で圧着させ、生地に移行させる技法です。印刷する際に版を必要としないため少量生産にも適し発色が良く、前処理を必要とせず水を使わないのも特徴です。

いずれかの方法で、パーリーゲイツの柄と色に応じて最適なプリント技法を選び、それぞれの工場でプリントされています。

古くからの伝統技法の持つ、深い奥行きのあるプリント

「深く、繊細な仕上がりが魅力。想像以上のものが生まれるんですよね。」と語るのは、スクリーンプリントを主軸に据え、ポリエステルの抜染などの難しい技術を誇る、堀忠染織株式会社 (※1) の代表取締役の、堀田さん。堀忠染織株式会社では、一枚一枚布地に模様を印刷する「捺染」を機械で自動化した「オートスクリーン」と「ロータリースクリーン」の設備を持ちます。

(※1 堀忠染織株式会社:
創業60年。京都市右京区で広巾の染色業(洋服のプリント)を営んでいる。各種繊維および合成繊維の染色加工を行い、オートスクリーンやロータリースクリーンによる捺染加工をはじめ、商品の企画から製造に至るまでの様々な提案を行っている。

手間がかかるが、想像を越える繊細なプリント

自動化といっても、版の位置を固定し生地が動きながら捺染を行うオートスクリーンは、職人が版の微調整を手作業で行うため、職人の手や知識が必要とされます。

京都でプリントされたパーリーゲイツの生地

オートスクリーンの一種であるロータリースクリーン(左)と、版が横に並ぶオートスクリーンプリント(右)どちらも職人が手作業で機械を調整していく。

オートスクリーンの一種であるロータリースクリーン(上)と、版が横に並ぶオートスクリーンプリント(下)どちらも職人が手作業で機械を調整していく。

スクリーンプリントの試刷りの様子:工場で試刷りをしていくため、細かなブランドの意向がここでも調整される。

最大の難関はダークネイビー

パーリーゲイツのシグネチャーカラーであるダークネイビーは、色を持った深いネイビー。この色が、カラフルでポップなパーリーゲイツの独自の世界観においてもコーディネートしやすく、上質な雰囲気を醸し出す要因の一つです。
プリントでの再現は容易ではなく、色を持つことから細部の微調整が必要であり、深い奥行きのある色に調整するには、まず技法の選定が重要とされます。そのため、京都の分業制によるそれぞれの工程での職人の技法が活かされています。

ダークネイビーを使用したパーリーゲイツのプリント生地。白とネイビーのコントラストを活かしつつ滲みにくい仕上げをするのは難しいと堀田さんは話す。

新しく進化していく技法と取り組み

「いろんな手法があるけど、一番大切なのはデザインだと思う。」と語るのは、スクリーン加工やインクジェットプリンターによる染色加工のプロフェッショナルとして創業以来多くの製品を送り出してきた、大本染工株式会社 (※2)  代表取締役社長の濱野さん。
「もともとオリジナルのデザインを追求する上で、制約事項がないほうが良いでしょう。デザインを引き立てるために、どうやったらできるんやろうって考えるのが楽しいんですよ」と、濱野さんは続けます。銀行で働いていたところ、先代から工場を受け継ぎ、より多彩な表現を求めて京都のインクジェットプリント発展の第一人者として、アパレルに早くからインクジェットプリントの機械を導入し提案してきました。

(※2 大本染工株式会社:
創業89年。京都市伏見区でスクリーン加工やインクジェットプリンターによる染色加工のプロフェッショナルとして婦人衣料・スポーツ衣料・産業資材などの捺染を行っている。

大型のインクジェット機械。同じ工場内で古くから受け継ぐ手法と新しい手法とが備えられている。

オートスクリーンの次に発展し、色の3原色をもとにした自由な表現が可能なのが「インクジェットプリント」と、データを写したシートから熱と圧力で圧着させ水を使わない「転写プリント」。それぞれの絵柄に対して、最適な手法を提案するために、大本染工さんではオートスクリーンを含む「インクジェットプリント」や「転写プリント」も採用しています。

自然と生まれたサスティナブルな発想

「プリントというと水を大量に使ったり、悪いイメージもあるけど、できることから実行していったらいいとポジティブに考えています。」と濱野さんは、隣接する産業廃棄物処理工場の廃棄熱を利用し、プリント工場で再利用しています。それだけでなく、転写プリントをした後に出る通常破棄される紙の資材をリサイクルに回す仕組みを作り、京都の他の工場へ広めていっています。

(左): 隣接する産業廃棄物処理工場。手間の配管を通して廃棄熱をプリント工場へ送っている。
(右): リサイクルに回される廃材

(上): 隣接する産業廃棄物処理工場。手間の配管を通して廃棄熱をプリント工場へ送っている。
(下): リサイクルに回される廃材

プリントに欠かせない「水」―品質と水との関係

水はプリントに不可欠な要素です。「洗い」には豊富な水が必要とされ、品質担保のために堅牢度を上げるための洗い工程を追加することがあります。これにより、大量の水が使用されます。
「夏だと本当に暑くて大変なんです。」と語るのは、京都地域周辺のプリントの洗いを一手に担う、天保14年に創業し200年近くもあらゆる繊維の洗いと仕上げのスペシャリストとして京都のプリント産業を支えてきた、小野木繊維加工株式会社 (※3)  代表取締役の小野木さん。それぞれのブランドが求めるクオリティに対して逐一対応しています。
小野木繊維加工(株)さんで行う「水洗い・仕上げ」の工程では、想定外のことが起こりうるため、プリント工程を行った工場の担当者がかけつけ対応を協議するなど、人が行き交い活気で溢れています。

(※3 小野木繊維加工株式会社:
創業181年。京都市南区で繊維加工業を営んでいる。時代の要望に即した機能性の高い加工を提供し、京都の物作りの特徴を生かした商品を生産する。

多くの水を必要とする「洗い」の工程。工場内は水に溢れ、12月末であっても蒸気で熱を帯びている。

パーリーゲイツのカラフルでポップなプリント

工場の皆さんが口を揃えて話すのが、パーリーゲイツの商品の難しさでした。
ゴルフをする上での快適な着心地が必要だからストレッチが入っている。ポリウレタン混だと汚染の可能性も高くなり、さらにダークネイビーといった難しい色を多く使用しています。スポーツウェアとしての機能と、オリジナル性、そして価格に見合った品質を保持するために、多くの人の手によってようやく完成します。

独創的な柄、そのプリントの多くは、
古都京都で行われています。
その裏には、京都のプリント工場が息を合わせ、
プリントの奇跡を起こしています。

ゴルフ場に映える目を引く色柄。
奥行きのある深い風合い。

魅力あふれる商品は、
京都に支えられて作られています。

(※2024年3月時点)